老健法による子宮癌施設検診の成績

佐世保地区細胞検査士部会
細胞検査士 五反田照三 他
指導医 木寺義郎
      

(平成 20年10月更新)


<目次>
(1) はじめに . .

 (7) 子宮癌検診結果

(2) 検診体制

 (8) 子宮頚癌の期別分類

(3) 検診受診者数  (9) 子宮頚癌の年齢別期別分類
(4) 細胞診成績 (10) 誤陰性、誤陽性について
(5) 要精検者数及び要精検率 (11)追跡調査
(6) 年齢別要精検者数及び要精検率

(12) まとめ


【はじめに】

 佐世保市における子宮癌検診は、従来から佐世保市立総合病院と佐世保共済病院で実施されてきたが、昭和58年2月老人保健法の施行と共に、昭和60年7月1日からは、登録指定医施設検診も実施されるようになった。
老人保健法による子宮癌検診は30才以上の婦人を対象として行なわれてきた。
 佐世保市では、老人保健法による子宮癌検診の個人負担金は、長年、20才〜29才は2900円、30才〜69才は1000円、70才以上は無料となっていた。但し60才〜69才で佐世保市の国民健康保険加入者は無料であった。
このため、29才以下の検診受診者については、多くの産婦人科医が保険で検査をしていた。
 しかし、子宮癌発生の低年齢化のため、平成18年より、20才〜69才は1000円、70才以上は無料となった。さらに、佐世保市の国民健康保険加入者は無料となった。
そのため、29才以下の婦人の老健法による子宮癌検診が急増することになった。
 この検診体制がスタートして平成19年12月31日で23年(22年6ヶ月)が経過したので、この間の検診成績について報告する。

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【検診体制】

  1. 検診対象は原則として佐世保市に居住する20才以上の婦人である。
  2. 検体は、各産婦人科開業施設で子宮膣部より直接塗抹で採取、アルコールで固定されたものを2つの検査センターがそれぞれの施設を廻って集め、染色標本を作製し、細胞検査士へ届けられる。2つの検査センターは、平成13年2月統合合併、(株)ラボテックとして検査業務を継続している。
  3. 標本は、すべて細胞検査士が問診票を参考にダブルチェックで鏡検し、パパニコロー分類で報告する。
  4. 陽性(ClassIV. V)、疑陽性(ClassIIIa. IIIb)の標本は、学会認定細胞診指導医へ送付、指導医は再鏡検し、陽性者及び疑陽性者を決定報告する。
  5. 陽性者ならびに疑陽性者の精密検査は原則として2次精密検査指定病院(佐世保市立総合病院、佐世保共済病院)で行うこととなっている。
  6. 細胞検査士は、発足当時3施設5名で鏡検を行ってきたが、その後6施設10名で実施してきた。現在は、(株)ラボテックの細胞検査士が主体となって実施している。

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【検診受診者数】

 22年6ヶ月間の受診者数は表に示すとおりである。
 昭和60年の6ヶ月間では886名であったが、昭和61年は2,968名、昭和62年は4,091名と増加、平成3年の5,259名をピークに、以後は検診受診者の固定化や受診率の頭打ちなどにより、3,900〜4,500名前後で推移している。平成18年以降は29才以下の受診者の急増で増加してきた、受診者合計97.908名であった。
 年令別では、29才以下3,125名(3.19%)、30才代35,238名(35.99%)、40才代29,159名(29.78%)、50才代18,085名(18.47%)、60才代8,306名(8.48%)、70才以上3,995名(4.08%)であった。
 30才代と40才代が高い傾向にあり、両者を合わせると全体の約65%近くを占めている。
 年令別受診者の動向では、40才台の検診受診者が平成11年から減少傾向が見られるようである。また、29才以下の受診者は、平成17年までは90名以下であったが、平成18年1,146名、平成19年1,528名と急増した。これは個人負担金の変更がおおいに関係しているものと思われる。
近年、性交年令の低下、クラミジア、HPV感染の広がりにより、子宮頚癌発生の若年化が起っている。29才以下の若年者の子宮頚癌検診増加は歓迎すべきものと思われる。


年齢別 ≦29 30〜39 40〜49 50〜59 60〜69 70≦
S 60
61
62
63
H 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
28
89
84
53
33
14
13
8
7
6
9
11
8
13
41
16
10
2
2
0
4
1146
1528
286
1146
1620
1633
1682
1773
2065
1635
1682
1628
1611
1435
1392
1354
1395
1338
1614
1520
1670
1515
1690
1738
1816
274
942
1239
1274
1406
1567
1839
1556
1641
1536
1578
1584
1406
1320
1187
1151
1196
1072
1129
949
1140
1072
1101
205
537
755
690
696
768
899
807
873
816
897
863
818
834
844
805
898
836
842
773
819
895
915
72
176
282
276
274
290
337
344
354
384
429
433
399
385
414
379
422
377
416
397
469
470
527
21
78
111
107
112
125
106
143
170
133
148
178
195
178
181
189
195
190
247
252
296
323
317
886
2968
4091
4033
4203
4537
5259
4493
4727
4503
4672
4504
4218
4084
4062
3878
4335
3997
4306
3886
4418
5644
6204

(%)
3125
(3.19)
35238
(35.99)
29159
(29.78)
18085
(18.47)
8306
(8.48)
3995
(4.08)
97908
(100.00)

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【細胞診成績】

 一次検診の細胞診成績は、クラスI: 83,809名(85,60%) 、クラスII: 11,896名(12.15%) 、クラスIIIa: 1,822名(1.86%)、クラスIIIb: 149名(0.15%)、クラスIV: 85名(0.09%)、クラスV: 97名(0.10%)であった。診断不適も50名(0.05%)に見られた。


クラス II IIIa IIIb IV 不適
S 60
61
62
63
H 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
779
2511
3555
3599
3779
3965
4686
3989
4088
3886
4049
3881
3450
3395
3465
3181
3629
3556
3502
3286
3834
4498
5246
85
370
424
317
337
432
448
382
548
525
556
542
678
601
520
600
594
366
699
523
491
1004
854
17
70
91
100
70
101
96
94
78
73
49
66
69
72
61
83
96
66
91
65
83
133
98
0
7
7
5
5
12
12
10
7
8
7
5
7
6
11
5
5
5
8
6
4
3
4
0
5
5
2
4
13
7
7
2
4
1
2
2
3
2
5
5
2
3
4
4
3
0
4
4
8
7
7
12
5
3
1
4
7
3
7
1
2
3
6
2
3
2
2
2
2
1
1
1
3
1
2
5
8
3
3
3
5
5
6
1
1
0
0
0
0
0
1
0
886
2968
4091
4033
4203
4537
5259
4493
4727
4503
4672
4504
4218
4084
4062
3878
4335
3997
4306
3886
4418
5644
6204

(%)
83809
( 85.60)
11896
( 12.15)
1822
( 1.86)
149
( 0.15)
85
( 0.09)
97
( 0.10)
50
( 0.05)
97908
(100.00)

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【要精検者数及び要精検率】

 受診者総数97,908名中、細胞診でクラスIIIa以上の要精検者は2,153名であり、要精検率は2.20%であった。
 年別では、平成2年の3.04%が最も高く、平成7年の1.37%が最も低かった。


受診者数 要精検者数 要精検率 (%)
S 60
61
62
63
H 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
886
2968
4091
4033
4203
4537
5259
4493
4727
4503
4672
4504
4218
4084
4062
3878
4335
3997
4306
3886
4418
5644
6204
21
86
110
114
86
138
120
114
89
89
64
76
85
82
76
96
112
75
105
77
93
141
104
2.37
2.90
2.69
2.83
2.05
3.04
2.28
2.54
1.88
1.98
1.37
1.69
2.02
2.01
1.87
2.48
2.58
1.88
2.44
1.98
2.11
2.50
1.68
97908 2153 2.20

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【年齢別要精検者数及び要精検率】

 29才以下109名(3.49%)と高く、30才代949名(2.69%)、40才代635名(2.18%)と大差はないが、50才代263名(1.45%)、60才代105名(1.26%)と低く、70才以上は92名(2.30%)と高くなっている。

 年齢   受診者数 (%)  要精検者数 要精検率
≦29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70≦
3125( 3.19)
35238(35.99)
29159(29.78)
18085(18.47)
8306( 8.48)
3995( 4.08)
109
949
635
263
105
92
3.49
2.69
2.18
1.45
1.26
2.30
97908(100.00) 2153 2.20

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【子宮癌検診結果】

 表は、子宮癌検診結果をまとめたものである。22年6ヶ月間の受診者総数は97,908名、このなかで、最終的に悪性腫瘍と診断されたものは319名、発見率は0.33%であった。
 このうち子宮頚癌は293名、子宮体癌22名、卵巣癌2名、肉腫2名であった。
 年別の癌発見率は、昭和61年の0.64%が最も高く、平成19年の0.15%が最も低かった。

受診者数 癌発見数(%) 上皮内癌 浸潤癌 腺癌 腺扁平癌 体癌 卵巣癌 肉腫
S60
61
62
63
H 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
886
2968
4091
4033
4203
4537
5259
4493
4727
4503
4672
4504
4218
4084
4062
3878
4335
3997
4306
3886
4418
5644
6204
5 (0.56)
19 (0.64)
21 (0.51)
14 (0.35)
14 (0.33)
27 (0.60)
14 (0.27)
17 (0.38)
8 (0.17)
15 (0.33)
15(0.32)
10 (0.22)
17 (0.40)
7 (0.17)
16 (0.39)
18 (0.46)
21 (0.48)
9 (0.23)
12(0.28)
13(0.33)
8(0.18)
10(0.18)
9(0.15)
1
9
12
4
6
14
6
8
1
9
4
2
8
2
10
7
8
3
3
6
4
2
3
4
9
7
7
6
8
6
7
5
6
8
5
8
5
4
5
13
5
6
5
4
5
4
0
1
2
1
0
1
0
0
0
0
0
3
1
0
2
2
0
0
2
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
2
1
3
2
2
1
0
3
0
0
0
0
4
0
1
1
0
0
0
2
0
0
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
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0
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0
0
0
0
1
0
0
0
1
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
97908 319 (0.33) 132 142 18 1 22 2 2

子宮頚部癌合計 293

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【子宮頚癌の期別分類】

 子宮頚癌の進行期別分類では、表に示すように頚癌症例 293名中、0期 132名(45.1%)、Ia期 72名(24.6%)、Ib期 31名(10.6%)、IIa期 16名(5.5%)、IIb期以上 23名(7.8%)、腺癌 18名(6.1%)であった。
 0期、Ia期を合せた初期癌の発見率は69.6%と高く、検診の成果がうかがわれる。

0期 Ia期 Ib期 IIa期 IIb期以上 腺癌 腺扁平癌
S 60
61
62
63
H 1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
1
9
12
4
6
14
6
8
1
9
4
2
8
2
10
7
8
3
3
6
4
2
3
3
2
3
3
4
4
3
5
3
1
4
3
3
2
1
3
7
4
5
3
0
4
2
1
3
1
1
1
2
1
1
1
1
3
1
1
2
2
1
1
1
1
2
2
1
0
0
0
2
2
0
0
1
0
1
2
1
1
2
0
0
0
3
0
0
0
0
0
1
0
4
1
1
1
2
1
1
0
2
0
0
2
1
1
1
2
0
0
0
2
0
1
0
1
2
1
0
1
0
0
0
0
0
3
1
0
2
2
0
0
2
1
0
2
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
0
1
0
5
19
21
12
12
23
12
15
6
15
12
10
17
7
16
14
21
8
11
12
8
10
7

(%)
132
(45.1)
72
(24.6)
31
(10.6)
16
( 5.5)
23
( 7.8)
18
( 6.1)
1
(0.3)
293
(100.0)

初期癌 204 
    (69.6%)

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【子宮頚癌の年齢別期別分類】

 子宮頚癌を年齢別期別分類で見れば30才代の 125名(42.66%)が最も高く、ついで40才代の 59名(20.14%)、70才代以上の 49名(16.72%)と続き、最も低かったのは29才以下の 4名(1.37%)であった。
 20〜40才代の若年者では0期、Ia期の初期癌が多く、70才代以上の高年者ではIIb期以上の進行癌が多く見られた。

年齢 0期 Ia期 Ib期 IIa期 IIb期以上 腺扁平上皮癌 腺癌 (%)
≦29
30〜39
40〜49
50〜59
60〜69
70≦
4
76
26
12
7
7
0
34
18
7
7
6
0
10
6
3
4
8
0
1
1
1
5
8
0
0
0
5
1
17
0
0
0
0
1
0
0
4
8
2
1
3
4 ( 1.37)
125 (42.66)
59 (20.14)
30 (10.24)
26 ( 8.87)
49 (16.72)

(%)
132
(45.05)
72
(24.57)
31
(10.58)
16
(5.46)
23
(7.85)
1
(0.34)
18
(6.14)
293(100.00)

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【誤陰性、誤陽性について】

 子宮癌一次検診の細胞診検査で陰性と診断され、その後、性器不正出血が続くなど異常を訴え再検査が行われた結果、悪性と診断された誤陰性例は8例であった。
 内訳は、子宮頚部腺癌2例、子宮頚部扁平上皮癌2例、子宮体部腺癌1例、子宮体部平滑筋肉腫1例、上皮内癌2例であった。
 逆に、一次細胞診検査で陽性と診断され、再検査を行うも悪性の確証が得られなかった誤陽性例は5例であった。
 平成12年の1例は細胞診上異型細胞が多く、ClassXとされたが、組織所見では悪性所見無しとのことであった。しかしこの症例は、平成14年1月SCC(Ua)と診断された。残りの4例は子宮膣部ならびに頚管部の異形成〜炎症で時々Follow中である。

症例 年別 細胞診 固定条件 細胞像 組織診 スメアの見直し・備考
1 S 62 I 分泌期様頚管内膜
細胞多数
頚部腺癌 頚管内膜細胞に異形成が
見られず、良性と判定
手術
2 S 63 II 血液多く
やや不良
細胞数極めて少数 浸潤癌 はっきりとした異型細胞は
見られない
放射線治療
3 H 1 II 細胞成分多数
間質様細胞出現
平滑筋肉腫 間質様細胞を良性と判定
手術
4 H 1 IV 異型細胞中等度 異形成〜
頚管炎
Over diagnosisIIIb
一時県外へ
現在Follow中、IIIa
5 H 2 異型細胞多数 異形成〜
頚管炎
Over diagnosisIIIb
現在Follow中
6 H 3 IV 異型細胞少数 スメアIIIa
頚管炎
Over diagnosisIIIb
7 H 9 表層型異型細胞多数 異形成 Over diagnosisIIIb
8 H 10 II OQ好性、核濃染
核のやや腫大した
表層細胞少数
上皮内癌 異型細胞は採れていない
手術
9 H 11 U 膨化変性ぎみ
でやや不良
子宮脱もあり
萎縮像
上皮内癌 異型細胞は採れていない
手術
10 H 12 T やや良 出血背景が目立ち
細胞出現は少ない
頚部腺癌 異型細胞は採れていない
手術
11 H 12 X 深層型や裸核様
異型細胞や核異型
細胞多数
生検:異形成
術後組織診
:non-malignancy
検診と同様所見
ClassW〜Xを考えたい
===========
※ 平成14年1月
  SCC(Ua)と診断された
12 H 14 U OG好性表層細胞多数
化生様細胞少数
良性真珠形成1個
腺様細胞は見られない
不正出血が続くため
内膜の精査
体部腺癌
腺様細胞は採れてなく
異常細胞も見られない
手術
13 H 14 T 出血背景(++)
扁平上皮細胞に特に
異常所見は見られない
平成15年2月
扁平上皮癌
(角化型)
異常細胞は採れてない
手術

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【追跡調査】

 佐世保市における老健法による子宮癌施設検診の二次精密検査医療機関は、佐世保市立総合病院と佐世保共済病院の2施設となっているが、自施設での精密検査も行われている。

 一次検診でクラスIIIa以上の要精検者は2,153例であり、追跡調査状況は表に示すように、クラスIIIaでは、1,822例中組織診による検査が行われたものは570例(31.28%)であり、異形成284例、上皮内癌52例、浸潤癌20例、子宮頸部腺癌4例、子宮体癌7例、肉腫1例など、悪性と診断されたものは計85例(4.67%)であった。一方、慢性子宮頚管炎などの炎症性疾患は206例(11.31%)であった。
細胞診のみによる再検査では、IIIaからIIIbへ変わったものが8例、長期間IIIaが続いたものは353例、IIIaからII.Iの陰性となったものは111例、再検査でII. Iの陰性であったものは574例であった。
 IIIa での追跡不明者は206例(11.31%)となっている。

 クラスIIIbの例では134例(89.93%)に組織検査が行われ、異形成46例、上皮内癌40例、浸潤癌27例、頚部腺癌1例、子宮体癌3例、卵巣癌1例がみられた。悪性と診断されたものは計72例(48.32%)であった。炎症性疾患は16例(10.74%)に見られた。
 細胞診のみによる再検査は7例であり、成績は表の通りであった。なお、追跡不明者は8例(5.37%)にみられた。

 クラスIVの85例では、全例に組織検査が行われ異形成14例、上皮内癌27例、浸潤癌31例、腺扁平上皮癌1例、頚部腺癌5例、子宮体癌4例がみられた。悪性と診断されたものは計68例(80.00%)であった。炎症性疾患は2例であった。
 追跡不明者は1例(1.18%)あった。

 クラスVでは、97例中92例(94.85%)に組織検査が行われ、異形成3例、上皮内癌10例、浸潤癌66例、子宮頚部腺癌6例、子宮体癌5例がみられた。悪性と診断されたものは計87例(89.69%)であった。炎症性疾患は2例であった。
 なお、追跡不明者は5例(5.15%)となっているが、この中には、高齢と他疾患合併のため治療拒否した例や、他県に転居した例なども含まれている。

 要精検者合計2,153例中追跡不明者は計220例(10.22%)である。

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◎ クラスIIIa 1822 例 追跡不明者 206 例(11.31%)

組織診による精査 病理診断 例数(Va比)
570例
(31.28%)
異形成
上皮内癌
浸潤癌
頸部腺癌
子宮体癌
肉腫
卵管癌
炎症性疾患

284 (15.59)
52 ( 2.85)
20 ( 1.10)
4 ( 0.22)
7 ( 0.38)
1 ( 0.05)
1 ( 0.05)
206 (11.31)

細胞診のみ再検査 クラス別成績 例数(Va比)
1045例
(57.35%)
VaからVb
長期間Va
 VaからU.I
U.I

8 ( 0.44)
353 (19.37)
111 ( 6.09)
574 (31.50)

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◎ クラスIIIb 149 例 追跡不明者 8 例(5.37%)

組織診による精査 病理診断 例数(Vb比)
134 例
(89.93%)
異形成
上皮内癌
浸潤癌
頚部腺癌
子宮体癌
卵巣癌
炎症性疾患

46 (30.87)
40 (26.85)
27 (18.12)
1 ( 0.67)
3 ( 2.01)
1 ( 0.67)
16 (10.74)

細胞診のみ再検査 クラス別成績 例数(Vb比)
7 例
( 4.70%)
長期間Vb
VaからU.I

2 ( 1.34)
5 ( 3.36)

    ※ 平成8年の追跡不明者のうち1例が、平成10年の保険診療で上皮内癌と診断された。

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◎ クラスIV 85 例 追跡不明者 1 例 (1.18%)

組織診による精査 病理診断 例数(W比)
84 例
(98.82%)
異形成
上皮内癌
浸潤癌
腺扁平上皮癌
頚部腺癌
子宮体癌
 炎症性疾患

14 (16.47)
27 (31.76)
31 (36.47)
1 ( 1.18)
5 ( 5.88)
4 ( 4.71)
2 ( 2.35)

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◎ クラスV 97 例 追跡不明者 5 例 (5.15%)

組織診による精査 病理診断 例数(X比)
92 例
(94.85%)
異形成
上皮内癌
浸潤癌
頚部腺癌
子宮体癌
炎症性疾患

3 ( 3.09)
10 (10.31)
66 (68.04)
6 ( 6.19)
5 ( 5.15)
2 ( 2.06)

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 要精検者合計 2,153 例中追跡不明者計 220 例(10.22%)

【まとめ】.

昭和60年7月1日より老健法による子宮癌施設検診が行われ以下の成績を得た。

  1. 昭和60年7月より、平成19年12月までの22年6ヶ月間の受診者総数は97,908名であった。受診者数の年次推移を見ると、昭和60年の886名から平成3年の5,259名と年々増加しているが、以後は3,900〜4,500名前後で推移している。平成18年以降は29才以下の受診者の急増で、18年5,644名、19年6,204名と増加した。
  2. 受診者の年齢分布は29才以下3,125名(3.19%)、30才代35,238名(35.99%)、40才代29,159名(29.78%)、50才代18,085名(18.47%)、60才代8,306名(8.48%)、70才以上3,995名(4.08%)であった。最近若年者の性感染症と子宮頚癌発生の増加が問題視されているので、平成18年から29才以下の受診者の増加がみられるのは歓迎すべきことである。
  3. 細胞診成績ではクラスI 85.60%、クラスII 12.15%、クラスIIIa 1.86%、クラスIIIb 0.15%、クラスIV 0.09%、クラスV 0.10%であった。診断不適も50名(0.05%)に見られた。
  4. 受診者総数97,908名中2,153名の要精検者がみられた。要精検率は2.20%であった。年別では平成2年の3.04%が最も高く、平成7年の1.37%が最も低い。平成19年は1.68%であった。年齢別の要精検率は、29才以下は3.49%,30才代ならびに40才代では2%台で大差はないが、50才〜60才代では1%台と低く、70才以上では2.30%と高かった。
  5. 受診者総数97,908名中、319名の悪性腫瘍が発見された。発見率は0.33%であった。このうち子宮頚癌は293名、その他の悪性腫瘍は26名であった。
  6. 発見された子宮頚癌293名の期別分類では上皮内癌が132名(45.1%)と約半数を占めており、検診の成果がうかがわれる。年齢別期別分類で見れば、30才代129例(42.66%)が最も高く、次いで40才代59名(20.14%)、70才以上49名(16.72%)と続いている。
  7. 誤陰性8名、誤陽性5名が見られた。精度管理を含め、診断精度の向上に努めることが特に重要である。
    細胞診の精度管理は、検診の有効性維持の面から特に重要な課題である。地域住民に対して、より精度の高い検診結果を提供するためには、細胞診検査所と2次精密指定病院との緊密な連携体制の強化と情報交換が必要である。                                                                     
  8. 要精検者2,153例の追跡調査では、クラスIIIaの中にも85名(4.67%)、クラスIIIbの中には72名(48.32%)の悪性腫瘍が発見されているので、積極的なFollow-upが必要である。なお、追跡不明者も220名を数えている。その頻度は10.22%であるが、要精検者の追跡調査を確立することは今後の重要な課題である。

以上、老健法による子宮癌施設検診の結果、地域医療に適した集団検診の充実と追跡調査の確立が重要であり、行政と医療従事者の熱意ある対応が望まれる。

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平成08年08月05日作成
平成20年09月26日改定
文責:一瀬 宏(佐世保市医師会員)

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